自分を殺したかった日、生き延び生まれ変わった日。
話は少し遡る。
夜叫症の薬を飲むようになる前。
私は入水自殺を試みたことがある。
子供たちと離れ、地獄の日々に支えを失い、自己嫌悪の嵐。生きていることが途端に耐えられなくなった。
全身の痛み辛さ、心の崩壊、眠れば悪夢。
どうしたら死ねる?
電車?周りに迷惑。
飛び降り?高い建物がない笑。
首吊り?家が、部屋が可哀想。
薬?同上
一酸化炭素中毒?同上。車内は見つけてくれた人に悪い。
樹海?遠い。
......海だ。
時期は12月。
思い付いたら早かった。
元旦那と子供たちに、涙を流しながらただひたすら謝罪にまみれた遺書を書き、よく沈むように服を着込みジーンズにスニーカー。
海までは地味に15kmくらいあったと思う。
車だと直ぐに世間に見付かるので、夜の10時に自転車で家を出た。
が、後輪がパンクw
げんなりしたが、そんなことよりこの世に居たくないので、フラフラな体で必死に自転車をこいだ。
人間は、本当に死ぬ気になればなんでもできます!
何時間かかったのか?
携帯は家に置いてきたので時間はわからない。
真っ暗な冬の海。波の音。
遠浅の砂浜が永遠と続く九十九里はとても美しい。
誰もいないことを確認し、海に入ってみる。
......暖かい。
厳密には、刺さる冷たさである。
が、この世界で生きていくことの方が遥かに辛く冷たい現実にしか感じない。
海の存在がとてつもなく暖かく感じた。
やっと楽になれる....
肩までの深さまで歩いてきたその時。
「おぉーーいっ‼‼」
‼‼‼‼人の声?
岸のほうを見ると、人の姿が見えた。
なぜ?こんなド田舎のこんな時間に人が....。
今は真冬。追ってこられたら困る。なにより、人に見られたくない。
愕然とし、岸に引き返した。
死ねなかったショックは多きく、全身ぐしょ濡れでとにかく自転車まで遠かった。
今日は帰ろう....。
帰りはとにかく寒く辛く悲しく、行きの何倍もの距離に感じた。
しかし、パンクした自転車で15kmだ。
私は気持ちが強いらしく、家までたどり着くのだからすごい。
鍵は開けっ放しだった。
玄関に服を脱ぎ捨て、砂だらけのまま布団に倒れこみ、体温を測ったら33℃
低体温症で死ねるんじゃね?
なんて期待と共に意識が飛んだ。
結論から言えば、こうして生きているわけで。
なんと、翌日には35℃まで回復し風邪もひかずww
自分の頑丈さと精神の強さに呆れ、大自然に死を拒絶されたように感じ、生きよう!と腹をくくったのであった。